2017年06月20日

ファッションウィークコレクションのパターン仕事にまつわるその他諸々

少々時間が経ち過ぎてしまいましたが、Y君のコレクション用パターン仕事の合間・最中に、スタジオで見聞きしたこぼれ話など、あれこれ。

●モデルさんの話
Y君は予算がなく、ノーギャラで出てくれるモデルさんを探していました。
26〜27ルックのコレクションのため、モデルは20人程必要とのこと。そんなに集められるのかなあと心配していましたが、経験の少ないモデルなどが「ノーギャラでも出たい」というのは結構あるらしく、「エージェントのYesとモデル本人のYesと両方必要だから大変」とは言っていたものの、あちこち電話をかけてY君の友人などにも頼み、最終的には必要な人数を揃えてました。

Y君の友人で、女性モデルとして仕事している男性モデルにも頼む、と言っていてちょっと興味津々でした。
で、実際そのユニセックスモデル君はスタジオにcasting(オーディションとまではいかないけど、採用するかどうか決める)にやってきて完成した服など着たりしていたのですが、Y君曰く「ウォーキングがダメだった」とのこと、彼は採用されませんでした。
私は仕事していたので当人の顔ははっきり見ていませんが、Y君が写真を見せてくれたのを見る限り、男性と聞かされなければ性別が分からない感じ。
実際会ってみた印象も、背はそんなに高くなく華奢で、声以外は女性って感じでした。

ただ、フィッティングなどに立ち会った他のモデルたちは微妙〜。
前にも書きましたが、パタンナーとしてはモデルさんたちの顔ははっきり言ってどうでもよくて、むしろ服がどのくらいフィットするかしないのかが大事なので、その辺に関してだけ言及しますが、アナタそれで”モデル”なん!?って聞きたくなるような、胸もおなかもお尻も、ダルンダルンで、サイズどーなってんの?とか、「ウエスト71cm」なんて堂々と、名刺というかプロファイルのシートに書いてる子もいたり。
ノーギャラで歩いてくれるようなモデルさんだとこの程度のレベルしか期待できないのかなーなんて、ちょっと残念でした。

オーストラリアの婦人服はサイズ8(B:82、W:63、H:88)が標準(日本でいう9号)で、コレクションの服もそのサイズに基づいて作っていたのですが、この寸法の服が着られない(主にウエストとヒップが大きい)モデルさんもたくさんいました。
「Gカップなの」と言いながら、おばあさんですかというくらいものすごく垂れ乳な子もいてびっくり。
Y君の肩越しに彼女の着替えを見たのですが、想定される位置に胸がなくて、思わずえ、どこ?って探しましたからね。一体どうなってるんだ!?って感じでした。

聞いた限りでは18〜25歳くらいのモデルさんたち。Y君曰く、18歳未満だと乳首が出たり、お尻が見えたりといった”演出”が、NGというか法に触れることになるらしく、個々に年齢を聞いて確認していました。

全員のcastingとfittingに立ち会ったわけではないのですが、「このコはオーストラリアだからモデルになれたんだろうな」と思わずにはいられない子も居ました。
それはファッションに限らずその他の芸能の分野(映画、音楽など)でも、他の日本人の方がこっちの雑誌のインタビュー記事で言っておられたのを見ましたが、そういう意味ではオーストラリアは文化的に遅れているし、競争相手が少ないというか、狭い世界です。

私がパターン仕事でスタジオに来る最後の日にフィッティングに来たモデルさんは、「こういうのを待ってた!」と言いたくなるような、ニュートラルな美人ですらっと背が高く(180cmくらい)、体型バランスもとれていて、お肌もキレイ、服もスッと着てくれて見ていて気持ち良かったです。ちゃんとしたモデルさんも居たんだ、とやれやれです。


●生地の話
Y君は今回のコレクション用に、手刺繍の生地をインドに発注していました。
数種類のビーズとスパンコール、さらに繊細なフェザー(羽毛)を使った細かいもので、コストもかなりのものらしく、ビーズの数やフェザーのサイズを調整して値段交渉してました。
Y君は知人を介してインドの刺繍工場とやりとりしていましたが、「(刺繍工場の人達は)朝6時から夜の12時まで仕事、工場に寝泊まりしてて、僕の仕事が終わるまで帰宅できないらしい」と聞いて「僕より長時間労働だよ。I feel so bad(すごく申し訳ない)」と言ってました。て、いうかその労働環境どうなの、と思いましたが。

緑系の色の刺繍サンプル写真を見た感想は、スパンコール(=水草の浮いた池)にフェザー(=草)で「苗が植え付けられたばかりの水田」って感じでしたが、上がってきた生地はそりゃもう豪華でしたよ。
そしてショーでは、モデルたちが歩くに合わせて羽毛が風になびいて、壮観でした。

コレクションでは刺繍の生地以外にsequin(スパンコール)、glitter(ラメ)、それに無地のシルクも使っていて、このシルクのアイテム群は素敵でした。
ちなみにhand dyeing(手染め)のシルク生地は$50/m(約4,200円)だとか何だとか。高い!


●スタジオの話
Y君が”スタジオ”として借りているのはwork spaceと呼ばれる物件。賃料は主に広さに応じて様々で、机やその他什器、電気代やインターネットなども含まれていたり、なかったり。
広くて大きいところだと、基本3年契約、うち最初の3か月は無料、なんて物件もあるようでいろいろ。
彼が借りているスタジオは3x3.5m程度でかなり狭い部類に入ると思うのだけれど、IKEAの机が3台+洋服ラック、工業用ミシンが置けて、さらに壁際に棚がつけられていて、物置に利用できるというのも気に入ってY君は決めたそうな。確かに狭いけれど、少人数のチームだし充分。

スタジオは寝泊まり禁止だとのことだったけど、案の定Y君は度々夜を明かしたようで、家に帰る往復の時間のことを考えるとここにとどまって、眠る代わりに仕事していた、というのが言い訳だったけれど、やっぱり短時間でもちゃんとしたベッドに横になって休まないと疲れが取れないよ。
結局そういう風にしてスタジオに泊まった翌日は「頭が痛くて何も考えられない」とか言って、机に突っ伏して寝てたりするから、元も子もないでしょ!

ちなみにこのスタジオが入っている建物には共同のキッチンがなく、あるのは流し台のみで不便でした。
他の、似たようなスタジオで仕事した経験上、こういった建物内には基本的に共同のキッチンがあって、たいてい電子レンジと湯沸かしポットは期待でき、あといくつかマグカップやお皿、カトラリー類(主に昔の住人が置き忘れて行ったものと思われる)、ひょっとしたら基本的な調味料、さらにトースターやサンドイッチプレスもあれば素敵、といった感じ。

別の友人にこの話をすると、そういった建物にはキッチンを備え付けるように法律で決められているとのことでしたが、うーん、どうなっているんでしょう。
この建物のオーナーというのは30代半ばくらいの、穏やかでフレンドリーな青年でしたが、せめて電子レンジ設置して欲しいなーと言うと、「この向かいのビル(音楽スタジオが入っている)も僕の管理してるビルだから、こっちの電子レンジ使えばいいよ!」なんて軽〜く言ってくれました。が、あなたは私の顔と、ここで働いてることを知ってるかもだけど、その音楽スタジオビルに居る他の人は知らないのに、突然「お弁当あっためさせてくださーい」なんて、行けないし・・・。と諦めました。

で、主に冷えたままでもOKのサンドイッチ系のお弁当を持参して、近くの公園でささっと済ませてました。また天気が悪かったり、Y君が外出していてスタジオに私1人だったりした時はスタジオでささっと済ませたりしてどうにかしのぎました。近くにカフェもあるけれど、いつも外食していては高いので。
次にこのスタジオで仕事する時までには、せめて電子レンジは設置しておいて欲しいなあー。
posted by miyuki at 09:48| Comment(0) | PATTERN CUTTING | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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