2016年04月27日

How to create the patterns from existing garments

参考サンプルや実在する服からパターンを取る方法について。

前回のパタンナー日記で”持ち込まれた参考商品のパターン取り”をしたことを書きましたが、たまにはこういう、パターン解説みたいなことも書かねば、と思って書いてみます。

パタンナーをしていると、「これをコピーして」といった感じで、実際の服を渡されてそれからパターンを抜く(取る)、という作業が時々あります。
サンプルを解体、アイロンして平面に戻すことができればそれをトレースしてパターンを取ることができますが、サンプルが借り物だったりしてほどくことができない場合が多いと思うので、その場合の、(あくまでも)私の方法。

初めの頃は「これって言ってみれば”パターン泥棒”ってか盗作じゃないの?」と思ったりしましたが、小規模なブランドではどこでも結構普通に行われていると思います・・・多分。
持ち込まれるのは、デザイナーさんが興味を引かれた服だったり、他社で売れ筋の商品だったり。抜いたパターンをそのままそっくり使って商品が作られることもあれば、生地を変えたりデザインを加えたりして商品になることも。これぞ”behind the curtain”(=舞台裏)って感じ?


さて、パターン取りの手順。
先日依頼された、セレクトショップの自社ブランド用の、シルクパンツの場合。

1. パターンを取るアイテムの簡単なスケッチを描く。
A4くらいの別紙に。この図に各所の寸法を書き込むので、あまり小さく描かないことが重要。
前と後、デザインによってはサイドや他の部分だけの図も描く。

2. 必要箇所の寸法を測って1のスケッチに書き込む。
正確さを期するため、できるかぎり左右共に測る。
縫製の正確さにもよりますが、特にジャージだと生地の特性(一方向に布がねじれるなど)もあって、左右で寸法が違うことが多い。
差がある場合は「25.5〜27.3cm」などとそのまま書き、製図時にその間の寸法を取るようにする。
裏返して作業する方が、縫い目を追って計寸出来るのでやりやすい。地の目も、裏返した方が見やすい場合が多い。ただし、裁断が正しい地の目でされているとは限らないので、その辺は縫製の正確さと伴わせて頼り過ぎないよう注意。
身頃などはあらかじめ半分に折って、中心線の目安としてピンなどを付けておくと作業しやすい。
step2.jpg
これは脇線(SS=Side Seam)がない(前後パンツが脇で1つに合体している)パンツで、前明きもなし、ウエストも本体から裁ち出しを折り返して紐(drawstring)を入れているデザイン。
なので脇線(仮定)を中心に、前と後ろを一緒の図に、実際にパターンを引く際の土台になる形のスケッチを描いてます。
マネージャーA氏によると、as per vintageというのは別にビンテージの服でなくても”既存の服のコピー”という意味らしい。多分、会社やブランドによって呼び方はそれぞれと思われる。
step2 2.jpg
普通の服の場合はこんな感じ。

3. 製図にかかる
アイテムによりますが、中心となる直線とそれに交差する直角線を引いて、そこから地図を引くように重要なところから寸法を取ってパターンを引いていく。
身頃だと前中心・後ろ中心線とバストライン、スカートなら前中心・後ろ中心線とヒップライン、パンツなら前後パンツの中心線(スラックスの折り目になるところ)とワタリ(股上と股下の境界)の線。
step3.jpg
脇線(仮定)とワタリの線、前後股ぐりと前後のウエストラインまで引いたところ。

4. 場所によってはアイテムを製図の上に乗せてラインを確認。
袖ぐりや衿ぐり、股ぐりなどカーブの具合を確認しながら作業。

5. 完成!
パーツ名など必要事項を書き込み、パターン完成。
step5.jpg

以上、あくまで私の方法。写真が少ないですが。


パターンに書き込む項目(以前にも書いた気がしますが、再度)

・ブランド名(又は会社名など、工場で識別される何か)
・アイテム名または品番
・パーツ名
・裁断枚数
は必須

・パーツ通し番号
私はシドニーでは、1of9、2of9...9of9という風に書いてます。

寸法等は書かなくてもいいけれど、今回の場合、このパターンは私が最後まで面倒を見るかどうか不確かなので、後々他の人が見て分かりやすいように。
必要な所に縫製の指示コメントも。
1パーツのみで構成される服というのは珍しい。私も初めてかも。


私の意見としては、ある程度経験を積まないと、正確なパターン取りは難しいかなと。
寸法が合ったとしても、パターンとして、形として良いかは別なので、それを見極められる力と、製図して寸法が合わない場合、どこの寸法をどの程度許容として融通つけて(辻褄を合わせて)形を作るか、という判断はやはりパターンそのものの経験と、トレースの経験と、両方ある程度必要かと思われる。
計寸するだけでも、正しく測れるようになるにはそれなりに練習が必要だし、例えばパンツの股ぐり(特に後ろ股ぐり)は、縫製で1〜1.5cm伸びる=製図は服の寸法より短くなる、などという基礎知識が必要になってくる。

実際の服からのパターン取りは「コピーするだけだから簡単でしょ」、と思われるかも知れないけれど、アイテムによっては結構時間がかかる(計寸箇所が多かったり、製図上で寸法がなかなか合わなかったりする)し、何より実際の服が存在する限り、ごまかしがきかないので、緊張するし大変。
でも楽しいです。と、いうか最近になってやっと楽しいと思えるようになってきました。
しばらく前までは「これのパターンを取って」なんて実物を持ってこられると「ひぇ〜〜」と怯えたものでしたが、やはりいろいろコピー経験を積んだからでしょうか。

ちなみにA氏によると、オーストラリアの(あまり素晴らしくない)パタンナーさんたちのパターン取りの方法は、「紙の上に服を置いて、ぎざぎざのルレットで直接紙に形を写す」だそうで、どう考えても正確さからはほど遠いし、何より服を傷つける。びっくりしました。

パターンを抜く作業は何かと勉強になります。面白い形の服は平面でも面白い形をしていたり、あるいは逆に「これでこの服になるの??」なんてこともあるし。
自分では、メンズの依頼があったときにチャリティショップで安いのを買ってきて、製図の参考にしたりしました。日本から『男のシャツの本』を持ってきてもいたけれど、日本のLサイズがオーストラリアのSサイズ相当だったりと体系の違いによる差が大きいので・・・。

以上、実在する服からパターンを取る方法について、でした。
posted by miyuki at 07:16| Comment(0) | PATTERN CUTTING | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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