2016年04月25日

最近のパタンナーお仕事状況

ご無沙汰しております。早いもので、気が付けば4月最終週、本日こちらは3連休(土日+Anzac Day)の最終日です。
2月中旬からずっと忙しく、3月に入って学校が終わってからは5月のシドニーファッションウィーク(FW)のコレクションを手伝う仕事が加わり、またそれとは別のお仕事も次々いただいて、途切れる暇がないどころか断らなければならないような状況になり、結果、クリーナーを辞めてパターン仕事一本でいくことに決めたわけですが、またいろいろと状況が変わりつつ、5月から私の次の学校のコースが始まって、労働時間の規制が始まる前にできるだけ仕事をしてほしい、などという先方の意向もあって、まだまだ忙しい日々は続きます。

●ショップの自社ブランド
シドニーのおしゃれエリア(?)の1つ、Bondi Beachにセレクトショップを構えるファッションブランドのマネージャーA氏から、私のお仕事広告を見たとのことで電話があり、すぐinterview(面接)へ。

オフィスはRoseberyというsuburb(地域)の工業団地エリアの一角にあり、すごくきちんとしたところでちょっとびっくり。7月には近隣に”仕事場”として新しくオフィスをオープンする予定だと言っていたし、勢いありますな。それまでは「work from home(在宅仕事)」になるとのこと。

面接で実際に会ったA氏は名前からして多分イタリア系、多分ゲイ、小柄でにこやかな男性だった。
簡単な自己紹介、会社概要などの後、「これはトライアル(実技試験)じゃないよ。I trust you(信用してるから)。この後次々仕事渡すからね」と言い渡され、怯える私。
ロンドンやイタリアでもファッションの勉強をして、日本を含め様々な国のバックグラウンドを持つパタンナーたちと仕事をした経験のある彼に言わせると、パターン技術の高さは「日本、韓国、イタリア」の順だそうです。とにかくA氏は、日本人パタンナーに対して絶大なる信用を抱いている様子が伺えました。
日本と韓国のパターン技術が高いというのは聞いたことがあったし、実際ロンドンの書店でパターン関連の書籍の少なさ、その古さにがっかりした経験から彼の言うとおりなのだろうとは思うのだけど、私はまだ韓国、イタリアのパターンメーカーに会ったことがない。是非会ってみたい!

ともかく、いくつかアイテムを見せてもらったうち、お仕事1つめはジャージ(カットソー素材)のラップドレスになりました。
ここは、パタンナーはパターンのみを作り、トワルは外部のマシ二スト(sewing machinist=縫い子さん)に依頼して、実際の布で、ほぼファーストサンプルのように作ってもらうそう。なのでこの時点で私が作るのはいわゆるファーストサンプル用のパターンのみ。

手持ちのTシャツ用原型を使ってパターン自体はすぐできましたが、すごく期待されている様子がありありと伝わってきたので、下手なことは出来ないという恐怖心(?)から、念には念を入れて・・・と、密かに自宅でトワル組みました(もちろんこの作業時間は、お仕事代金としては請求しません)。ボディに着せてみると、ほぼ写真通りにできてホッと安堵。ま、そうでなくては困るのだけど。
衿ぐりの明き具合など少しだけ修正してパターンを取り、後日持参。

A氏は私のパターンを見ると「Perfect!」を連発して満足そうではあったけれど、その目はごまかしを見逃さない鋭さに満ちていて、真剣そのもので緊張しました・・・。
聞けば、オーストラリアのパタンナーは、普通の縫い線でも1.2cmの縫い代をつけたり(ファッションの専門学校では1.2cmと教わるらしい)、ジャージのアイテム(=ロックミシンで縫われることが明らかなもの。縫い代は通常0.6cmか0.7cm)でも1cmの縫い代を付けて来たり、バインダー仕上げ(縫い代を仕上がりにカットして、別裁ちの布でくるんで仕上げる。本体に縫い代はつけない)の箇所に1cmの縫い代を付けてきたりするパタンナーが多いそうで、私が、仕上がり線が全てに書き込まれていて(後々量産のためにCADに読み込むには仕上がり線が必要)、0.7cmの縫い代を付けたパターンを持ってきたことに安心していた様子でした。
我々にしてみれば、至極当たり前のことでも、海外で、CADパターンの経験がない人たちには、なかなか基本として通用していないらしい。大変だなあ。

その日のミーティングで次なるアイテム3つを渡され、その説明などで1時間ほどかかった分も「”打ち合わせ”として、パターンの仕事時間分と一緒に請求してね。すぐ払うから」と言ってくれた。有り難い。

しかしその請求書(invoice)をメール送信しても、一向に振り込みがされた様子がない・・・。
またその次の打ち合わせで「メール受け取ってもらえましたか」と尋ねると、
「$10上乗せした時給+GST(Goods and Services Tax=消費税に相当。10%)で請求書を送りなおしなさい」と言われる。えっ、どういうこと?
チャージを値引き交渉されることは時々あれど、上げるよう言われたのは初めてで困惑。しかも$10+GSTで実質$11(約950円)アップ。

恐らく、もう1人のパタンナーさん(CADを使って、レオタードなど、難易度高めなアイテムを担当されているそう)は、私よりずっと高い時給(元の私の時給の2倍くらいと思う)で請求していて、バランスを取るためでは、と推測。
ブランドオーナーから「あなたが見つけてきた新しいパタンナーは日本人なのね、で技術は確かだと。なのにどうしてこんなにチャージが低いの?何か問題でもあるの?」などということにならないように(推測)。まあ元の時給が、私の経験年数からすれば低めではあったのだけれども。

しかしこの時点で私はまだ1点もパターンを完成させていない。トワル用のパターンを1型渡しただけで、しかもそれは「生地が届いていないから」まだトワルを作っていないという。
怖い。期待されすぎている気がする。期待に沿える仕事ができるのかしら。自信がない。どーしよー。

このブランドとのお仕事状況報告は、また次回に続きます。


●ファッション学生GちゃんのFWコレクション
ファッション学生Gちゃんの、シドニーファッションウイーク(FW)コレクションのパターン仕事を手伝い始めて約2ヶ月経過。
ここは彼女一家のリビングで、食事をするテーブルを借りてパターンを引くため、通常のパターン台(腰くらいの高さ)より低い分、足腰がかなり疲れる(通常、手書きパターンは立って作業します)。
駅まではGちゃんの運転か、車がないときはUberを手配してくれて送迎付きとはいえ、その最寄り駅まで電車で往復3時間近くかかる。結構しんどい。
周りに何もない住宅地のため、弁当やらフルーツやら持参して、気合い入れて仕事に挑んでも、使う用に渡される原型はしわくちゃだったり(薄いトレーシングペーパーで製図するから。食器の包装に使う薄紙を想像してください)、直線で構成されたとしか思えない、がたがたの袖ぐりだったりする・・・。
一応その原型を写しつつ、キレイな線でパターンを作っても、彼女の裁断・縫製は決して丁寧ではないし、ノッチの切込みも1mm以上ずれて切り込まれていたりするのを見るにつけ、「私、何でこんな仕事してるんだろ・・・もっと質の高い仕事がしたいなあ・・・」と(今さらながら)思ってしまうことが多くなってました。
まあ時間に追われて、1回限りのファッションショー用の制作をするファッション学生にとっては、その程度のものなのかも知れないけれど。

Gちゃんは、基本的にはしっかりした良い子なんだけど、仕事日前日の確認は忘れないのに、当日の待ち合わせに遅れても連絡がなかったり、お仕事代金を請求するメールには、再度催促するまで返事がないとかだったりする。
学生気分で仕事されている気がどうにもぬぐえない。outsourcing(外注)の経験が少ないから、仕方ないのではあるけれど。

ショップの自社ブランドでの時給は学生さんの1.5倍。
A氏から「学校が始まって、労働時間の制限が発生する前にできるだけたくさん仕事を渡すね」と言われた帰り道、Gちゃんのお手伝いは断ることにしました。
「パターン作業は一応終わって、フィッティング後の修正があるくらい」と言っていたし、Gちゃんの彼氏でパターンがそれなりに出来るY君も手伝うだろうから大丈夫でしょう。

次回の仕事予定を言われなかったし、契約しているわけじゃないから、フリーランスとの仕事は早い者勝ちだとGちゃんも学習していただかないと。
他で良い条件の仕事があればそっちを選べる自由が私にはある。私もそろそろ、待遇と仕事の質と相性とで、仕事を選んでいいよね。
フリーランスとしてこちらで仕事を始めた当初、他の仕事があまりなかった時期には学生さんの仕事があると助かったけど、しんどいばかりで質(と時給)の低い、学生の製作に関わるのはもうそろそろ終わりにしたい・・・。


●Tシャツブランド
最初はLinkedInを通じて連絡をもらって、1年ほど前から時々仕事をしているブランド。
無地のプレーンなTシャツやタンクトップを、団体やチーム、グループのユニフォーム等向けに生産、販売しています。私に頼まれる仕事は、パターン作成や既存商品のパターン修正、サイズグレーディングなど。

何といってもここは、とにかく支払いが早い!!
私が仕事をするような、個人の小さいブランドや学生さんは、たいていどこも、何度も問い合わせてしつこく言わないと払ってくれないのに、ここはinvoice(請求書)を送れば即日か、遅くても翌日。
お仕事依頼のメールをいただいたとき、予測していなかったしすごく忙しかったから行くのどうしよう、と一瞬思ったけど、他のクライアントの支払いが滞っていたから「これでレントが払える!」と行くことに。

今回のお仕事は、お客さんからの依頼とのことで、持ち込まれた参考商品のパターン取り4点と、うち1つは1サイズアップした分のパターン作成も。
メールをもらった段階では仕事量と内容がはっきりしなかったので、朝9時からと早めに開始させてもらったところ、夕方4時頃には終了。
今回も帰宅後すぐメールでInvoiceを送ったら、数時間後には「All paid」と返信が。いつものことながらあまりに早くて、思わず吹き出してしまった。いやいや、助かります!


自社ブランドのパターン仕事その後と、その他のお仕事についてはまた次回!
posted by miyuki at 12:15| Comment(2) | PATTERN CUTTING | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
パタンナーさんとして輝いてますなっ!
お仕事の話は本当に興味深いです。
クリーナー卒業も良かったね、お疲れ様さまやね。
期待してもらえるのは嬉しいねぇ、ここのブランドのお話、待ってますー。
日本は春から初夏の気候です、暑いわー。
Posted by ETSUKO at 2016年04月25日 20:30
えっちゃん
コメントありがとう。クリーナーを卒業してやっと10日ほどが過ぎただけなのに、もうすごい昔のことのよう・・・。
おかげさまでパタンナー業に精を出してます!このブランドとは週に2回くらい打ち合わせするから、書くこといっぱいあるよ♪
服作り業界の内情(?)を南半球からお届けします!
日本はもう暑いんだね。こっちは涼しくなって、ストールに帽子にブーツにと、おしゃれが楽しい季節だよ。
Posted by miyuki at 2016年04月26日 18:42
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。