2015年04月11日

映画『Dior and I』

映画『Dior and I』を観ました。
2012年、フランスの老舗メゾンChristian Diorに、ベルギーのデザイナーRaf Simonsが抜擢される。オートクチュール未経験の彼だが、わずが8週間という異例の短期間で初のオートクチュールコレクションを完成させなければならない。
ラフが、どのように偉大なるディオールの歴史と向き合いコレクションを作り出すのか、アトリエのスタッフたちの仕事ぶりとコレクションが完成するまでの日々を追ったドキュメンタリー映画。



感想。
映画は、ラフがディオールのアトリエに迎えられるところから始まり、Christian Diorブランドの軌跡、ムッシュ・ディオールの語りなどはさみつつ、晴れてオートクチュールコレクションのランウェイショーが行われるまでを追います。

見どころは何といっても、初めてカメラの撮影が許可されたという、ディオールのアトリエ内部と、そこで働くスペシャリスト達。
日本語では”お針子”となってましたが、これは英語の”seamstress”を訳しただけって感じで、これだと与える印象がちょっと違うなあ。
確かにseamstressはsewing machinist(縫製する人)とほぼ同義ですけど、実際(映画の英語字幕)はmodelist(最初のかたちを作る人、要するにパタンナー)となってました。フランス語では何て言うんだったっけ。ここでの彼らは縫いもするのかな?
アトリエ内部の印象は”白”。モデリスト達はそろいの、”Dior"ネーム入りの白衣を着て、白い机、白い紙、トワル用の布も、おなじみの黄色っぽいカリコではなく、ブリーチしたやつかな?もっと白くて薄い布でした。
オートクチュールコレクション用に、衿にハ刺しするんだ!なんて驚いたり。
ハ刺しはこちら。ここまで細かくはなかったですが。
でも私は英語字幕を追うのに必死で、画面をじっくり眺める余裕がなかったのが残念。

dummy(ダミー=ボディ、洋裁用マネキン)とか、toile(トワル=デザインチェック用に、安価かつ扱いやすい生地で作られた試作品)等々、我々ファッション業界の人間にはおなじみでも、一般的には通じにくい言葉もたびたび出てくるので、婦人服製造業になじみがない人にはわかりづらい部分もあったかもですけど、一緒に見に行った友達(美容師)は、とても良かったと言ってくれて、帰り道は質問攻めに遭いました。もちろん服作り業界人ならとても楽しめる、ってか必見です!

東京では(もちろんディオールほどではないですが)結構大きなブランドで仕事させてもらっていたので、
トワルチェック前の緊張感、時間との戦い、また出来上がったトワルやサンプル、商品はまるで自分の子供のよう・・・という、苦しくも充実していた日々を思い出しました。、

フルタイムのパタンナーを辞めて、いろんな意味で自由かつのんびりした海外でのフリーランスパタンナー歴も長くなり、これはこれで日々さまざまな仕事に出会えて楽しいのですが、今は単独で仕事しているので、当時みんなで残業したときは、あんな風にお互い励ましあったり、一緒におやつをつまんだり、デザイナーの愚痴を吐き出したり・・・でもできるだけ楽しい雰囲気で仕事しようって感じでやっていたのが懐かしい。映画では、ベテランスタッフたちの毒舌に結構笑わされます。

ファッションの世界は、つい表に立つデザイナーだけに光が当たりがちですけど、この映画では、服作りはチームワークで、表舞台からは見えないところ(behind the cartain)で働くパタンナー、テキスタイルデザイナー、テーラー、広報担当等々なくしては成り立たないんだということを描き出していて、アトリエのスタッフにも深い敬意を払っているところに感動しました。

つい力説して、いつもより長い感想になってしまいましたが、日本では邦題『ディオールと私』で、オーストラリア(3/26)より一足早い3/14より公開中。

Palace Verona Cinemaにて19:00の回で鑑賞。
未見の方は是非!!
posted by miyuki at 09:00| Comment(0) | FILMS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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