2006年11月12日

先週読んだ本

●中村文則『銃』
銃
「昨日、私は拳銃を拾った。これ程美しいものを、他に知らない」
ある夜、死体の傍らに落ちていた拳銃を拾った「私」。人を殺傷するためだけに作られたこの”機械”に、「私」は次第に恋するように魅せられてゆく。日々の行動や心情まで”拳銃を所有している自分”に左右されるようになり、やがて驚愕の結末へ・・・。

語り手の内面から出来事まで、終始徹底して客観的に書かれていて、まるで夏目漱石や芥川龍之介を読んでいるかのようでした。

拳銃は、それを手にした人を惑わせ、狂わせるもの、として描かれています。
あとがきで著者は「これは決して読んだ人を幸福にする物語とはいえず、人に好かれるような主人公でもない」と書いていますが、妙にリアルで生々しい物語でした。

●藤村昌之『大阪拘置所の10年』
kouchisyo.jpg

犯罪に関わる本が続きますが、こちらは楽しく、興味深く読めました。
拘置所内の知られざる日々の暮らし、死刑囚の威張り具合、人間模様等々。大阪弁ゆえ軽妙さが増して読みやすく、面白かったです。

拘置所内の動物(鳩や猫、蛙やトカゲなどの小動物)との心和む触れ合いを書いた章に始まり、死刑囚は獄舎の王様(=彼らにとって拘置所は終の住処だから、ほかの一般収容者は下宿人みたいなもの。拘置所内でさらに犯罪を重ねても死刑以上の刑はない)で、入浴も一番だとか、獄中で小金を稼ぐ方法、偏屈な弁護士、白衣を着た刑務官(=拘置所の医者)などなど、興味津々で読みました。

ただし、著者は銃刀法違反や宝石盗難事件等々で通算10年間、大阪拘置所で生活していた人ですから、かなり自己中心的な書き方になっている部分も感じられました。何もかもが大仰ですし、ちょっと常人の感覚からずれているように思うのは私だけではないでしょう。
あとがきの最後に、かつて隣の房だった死刑囚に対し「殺されるなら、(刑務官を)殺して逃げてください」と書かれていますし・・・。
拘置所という、閉ざされた別世界をかいま見ることができた本でした。
posted by miyuki at 19:19| Comment(0) | TrackBack(0) | BOOKS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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